あさり よしとお
徳間書店
おすすめ度の平均:


説明9割、グロ注意。でも良作。

なぜ小惑星なのか、月ではダメなのか

これは傑作

宇宙開発物語

SFというには物足りない
さすがはまんがサイエンスのあさりよしとお、 語るべきことの多い宇宙の一部ではあるが、宇宙での軌道運動についてとか、小惑星での生活とかSFしながら分かりやすく解説してある。
宇宙では前方を進む船などに追いつくためには減速する必要がある、このことはどの本でだか忘れたけど読んで、そういう物なんだと言うことは知っていたが、その理由まではよくわかってなかった。 そのよくわかっていなかった部分をこの本ではこれ以上ないくらい分かりやすく解説してあった。 個人的にはこのことがこの本をよんで一番うれしかった部分。
もうちょっと突っ込んでほしかったのは月の有人基地の部分。 水がないから月の有人基地は無意味という話だったが、月には水があるかもしれないという話にもなっているし、逆に小惑星には水がない可能性の方が高いのではないだろうか? また火星にも水はあるようだし、ならば十分行くだけの価値はあることになる。
執筆時にはそこら辺の情報がなかったのかもしれないが、今実際に日本の宇宙開発の方向性として、月か小惑星かで議論されている所でもあるし、こういう分かりやすい作品のなかで掘り下げてほしかった。
で、最後のゆうれいシリンダー、これはブラックだ。 でもなんであれ現実や社会を真っ正面から見てしまえばなんでもブラックになってしまうのかもしれないという気もする。 全てが生まれ、全てが帰って行く所、この浄化槽が居住空間の数倍あるというのがまたリアルだわな。 実際小惑星なんかで社会をつくって、そこから排出される物を全て浄化して再生しようと思ったら人間の住む空間の数倍の空間を浄化槽に割り当てる必要が出てきそうだ。
もし将来的に実際に人類が宇宙空間で生活するというのなら、まさしくこのマンガでで表現されているような小水から死体までなんでも再生して利用する必要が出てくるんだと思う。 考えてみればこの地球上でも人間が直接手を加えていないだけで、同じように小水も死体も分解されて再利用されている。 その過程を直接人間が手を加えて行うと考えただけでなぜこんなに精神的抵抗感がでてくるのか。 この抵抗感を受け入れて日常生活を行うのはかなり難しいことではないかと思う。
あらためて自然の偉大さを感じるとともに、案外人類が宇宙で普通の生活を行うのは無理なのかもしれないということも思った。