2011年10月27日木曜日

斎藤一人の人を動かす

斎藤一人の人を動かす 斉藤一人さんの弟子の著者が、斉藤一人さんにいろいろと話を聞いて、その対談を本にしたもの。

斉藤一人さんが書いた本じゃなくて、斉藤一人さんの考えを著者が自分の理解としてかみ砕いて、それを書いているからものすごくしっくり来て分かりやすい。 著者の年齢が自分と同世代ということもあるんだろうけど著者のフィルターを通すことで斉藤一人さんの考えがより要点を押さえた形で伝わってくる。 
 
最近はやりのビジネス書とによくあるように、話の要点を抜き出して項目として記載している。 横着して要点だけ読むと普通の啓発本と変わらないという印象を持ってしまうかもしれないけど、その項目は本当に要点のみに絞られていて、その要点に至るまでの話を読んでこそ、その要点が際立つようになっている。 

あとがきで7回読み直してほしいとかいていたけど、この内容の濃さとそれを自家薬籠中のモノとして身につけるためには、手元に置いてそれ以上に読み返していきたい本だと思う。
久々にこれはすごいと思える良書だった。

P49、成功するのは人に自己重要感を与えられる人になるためだと心に刻め

P51、必ず人というものはひとりは一なんだって思ってるんだよね。だからこの人はすごく偉い人だとかいっても俺にとっては一なんだよ。一人の人間で百とか千とかっていうのはないんだ。どんな人でも喜べば同じなんだよ。

P75、人間に必要な3元素。体に栄養、脳に知識、魂に徳

P86、人にあげる人のもとには、もっと素晴らしいものが舞い込んでくるようになってるの。

P108、もっと分かりやすく言うとな、『あなたの願いを叶えます』ってものが、人の心を動かすんだよ。

P113、今、ここ、目の前にいてくれる人のことを大切にすることで人生のチャンスが増えていく

P133、一つは『上司にも重要感があるんだよ』ってことと、『上司を動かせるくらいの自分になりな』ってこと、そして『上が動かないんだったら、自分から仕掛けていくくらいの心構えを持ちな』ってこと。

P177、「そうやってな、チャンスって人が運んできてくれるんだよ。だから自分のところにきてくれたひとを一生懸命大事にして、相手の重要感を上げることに集中しな。そうすればお前の魅力がどんどん上がって、勝手に協力者が出てくるんだよ。」

P247、文句を言う少数の人間より、喜んでくれるたくさんの人にフォーカスする。

2011年10月11日火曜日

ふしぎなキリスト教

ふしぎなキリスト教 (講談社現代新書)
橋爪 大三郎 大澤 真幸
講談社
売り上げランキング: 1331
現代社会において基本となるのは西洋文明で、その西洋文明の根底に厳然としてあるのがキリスト教。 西洋人なら血肉として理解しているキリスト教も、多くの日本人には「なんとなくそういうもの」としてしか理解するとこが出来ていない。 このキリスト教という物を一神教とは何なのか、そのキリスト教という一神教の成立の背景、キリストとはどのような人物であったのか、そしてキリスト教という物がどのようにして西洋精神の中に浸透し、影響を与えるようになっていったのか、そういったことを対談という形で解説している。 「ふしぎなキリスト教」と簡単そうなタイトルをつけているけど、内容はかなり難しい方じゃ無いだろうか。 宗教学、宗教史、新約聖書、旧約聖書、西洋哲学と内容は多岐にわたってしかも深い。 自分も内容を理解したとは言えないが、それでも要所要所でなるほどと思わせる物があった。 西洋文明を理解するために必要となるキリスト教の精神と考え方へのアプローチとしては良書だとおもう。 P88、神々は放逐された。だから、仏教、儒教、一神教がある。世界の標準はこっちです。世界は一度壊れた。そして、再建された。再建したのは、宗教です。それが文明を作り、今の世界を作った。こう考えてください。 P117、奇蹟は、呪術とは逆に、自然法則が厳格に支配する合理的な世界の方に属している、ということですよね。つまり、呪術対科学という対立の中で、奇蹟は、むしろ科学の側に属している。自然法則の普遍的な支配(科学的な合理性)とその例外的な停止(奇蹟)との間には、表裏一体の関係がある、ということが理解のポイントだと思うのです。しかし、一神教に対してなじみが薄い日本人には、相当理解が難しいところでしょうね。日本人には、奇蹟と呪術は、むしろ似たような物に見えてしまう。 P329、宗教とは、行動において、それ以上の根拠を持たない前提を置くことである。 P334、橋爪:日本人がモノづくりに長けているのは、アニミズムと関係があって、ロボットにも全然抵抗がないし、モノに何かスピリットのようなモノが宿っていると思っている。ロボットに「ももえちゃん」とか名前をつけて、共存しているわけです。中国もインドも、モノづくりにそこまで入れ込みがない。モノを作る人よりも、何か考える人の方がえらいという世界なので、モノを作る人の社会的地位はそんなに高くない。日本が、モノを作る人の社会的評価が一番高いと思う。 イスラムは、モノを作ることが下手で、嫌なんじゃないかな。理由はよくわからないが、もしかすると、クルアーンがあまりに文学的に素晴らしく出来ていて、クルアーンの精神世界が魅力的過ぎるせいなんじゃないかと思う。だから、クルアーンに触発された文学などはとても立派。それから、クルアーンに基づいた法学、これも素晴らしく立派。政治もそれなりにうまい。ビジネス、商業もうまい。でも、製造業がちょっと見劣りします。クルアーンが描くのは徹底した一神教の世界だから、モノにスピリットを認める余地がない。 大澤:なるほどね。日本のモノづくりが飯野は、全くおっしゃるとおりじゃないかと思う。日本の職人や技術者が、完璧なモノをつくろうとするときのじょうねつみたいなものはすごいですよね。モノにスピリットがあって、だたのモノ以上のモノとのつきあい方で、技術をきわめていくみたいな感じがします。そういうふうにモノづくりを猛烈に進め、オタク的と言っていいような極め方をしてしまうことは、どこか日本人の世界との関わり方と関係があるような気がします。

2011年9月26日月曜日

史上最強の内閣

史上最強の内閣
史上最強の内閣
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室積 光
小学館
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相変わらずぐだぐだな日本の政治状況を見ていると、こういう即断即決な割り切った果断な政治が出来る人材が出てきてほしいと思ってしまうが、そういうIFな政治と政権の物語。 

北朝鮮からミサイルが日本に向けて発射されようとしている時、政権を担っていた政治家は現在の状況が自分たちの能力を超えて言えると判断し、実力者が集まっている影の内閣にその実権を譲ることを決定する。 というようなところから話が始まる。

登場するキャラクターは歴史上の有名人の名前をもじっていたり、現実の政治家の名前をもじっていたりで、政治風刺の物語っぽくなってる。 物語のノリとしてはおちゃらけた感じ、なんとなく「日本以外みんな沈没」みたいな雰囲気を感じる。

読みやすい文体なんだけど、内容としてそれほど得る物もなく、考えさせる物もなく、まぁふつうの時間つぶしの小説。

3両編成の新幹線は見てみたいかも

2011年9月24日土曜日

中卒の組立工、NYの億万長者になる。

中卒の組立工、NYの億万長者になる。
大根田 勝美
角川書店(角川グループパブリッシング)
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貧乏でものもろくに食うことが出来なかった人が、今はNYで億万長者として暮らしている。 そんな人の伝記。

億万長者になるにはどういう道があるかというと、まずは会社に勤めてがむしゃらに働いて、次に自分の会社を作って、そして最後にベンチャーに投資をしていく、これが一つの道だが、この道を進んで億万長者になった著者がその場その場でどのような思い、どのような判断で行動してきたのかがわかる。

途中で挟まれている「億万長者の教え」はよくある成功本とかわらないけど、そういう物を知らなかったであろう著者の行動が、よくある成功本で語られるノウハウに対して、実際の体験による物語という強力な肉付けがされている。

成功者になるための道筋の一つを知るものとしていい本だと思う。

2011年7月10日日曜日

共感企業

共感企業
共感企業
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阪本 啓一
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 62257


これからの時代に企業をどのようにしていくのか、そういうことを考ええた場合、ブランディングや選択と集中、顧客の巻き込み、ネットを使った顧客とのつながりなど様々なキーワードがあるが、それらをまとめて「ビジネス2.0」として一本の筋を通してまとめて解説してある。

これからの企業運営を考える上では必須の一冊になる。

自分のことを考えた場合、自分は一企業に雇われているサラリーマンであり、企業の運営に関わるような立場でもないが、これからの時代の企業において社員としてどのように企業活動にコミットしていくのか、そういう面でとても考えさせられるものだった。

できれば自分では決めることのできない、会社としての方針などを考えるためにも
、うちの会社の経営者にもよんでほしいとおもう。



P18、ビジネス2.0では、「貢献」「評価」「尊敬」「信頼」『感謝」『喜び(JOY)」「感動(WOW)」「愛」『徳」そして『共感」といった言葉がキーワードになる。

P23、第一に、顧客が求めているとしている経営の前提がすれてしまっていることに経営者が気づいていない。(略
第二に、社員のポテンシャルに気づいていない。社員から最大限の力を引き出すことがマネジメントの仕事であるにもかかわらず、昔ながらの日本語ガイドをさせている。

P31、ビジネス1.0 人の気持ちと地球を消費し尽くすビジネスのあり方。
ビジネス2.0 人の気持ちと地球をリスペクトするビジネスのあり方

P37、自分は常に事業の経営に任じては、その仕事が国家に必要であって、また道理に合するようにしていきたいと心掛けて来た。仮令素の事業が微々たるものであろうとも、自分の利益は小額であるにしても、国家必要の事業を合理的に経営すれば、心は常に楽しんで事に任じられる。故に世は論語を持って商売上の『バイブル」となし、孔子の道以外には一歩も出るまいと努めて来た。それから余が事業上の見解としては、一個人に利益ある仕事よりも、多数社会を益して行くのでなければならぬということを常に心していた。
(中略)
多く社会を益することでなくては、正径な事業とは言われない。仮に一個人のみ大富豪になっても、社会の多数がために貧困に陥るような事業であったならば、どんなものであろうか。如何にその人が富をつんでも、その幸福は継続されないではないか。ゆえに、国家多数の富を致す方法でなければいかぬというのである。

P43、顧客参加型市場には四つの特徴がある
(1)面白いかどうかが決め手
(2)境界がなくなってしまっている
企業と顧客の境界がない。
(3)逆転している
顧客参加型市場では、企業は「フリー(無料)」にして顧客に使ってもらう。つまり企業がお金を払う。顧客は払わない。
(4)企業と顧客が共感をベースに協創する

P56、ウッフィー(Whuffe)は、仮想通貨だ。作家のコリィ・ドクトロウの小説『マジックキングダムで落ちぶれて』(Down and Out in the Magic Kingdom A Tor book, 2003邦訳ハヤカワ文庫)に由来する。 ウッフィーはソーシャルキャピタルで、現実の通貨では買いたくても買えない。徹底的に利他的な性質を持つ。つまり、誰か他人のお役に立つ、貢献する、評価される、尊敬を受ける、信頼を得る、感謝される、喜び(JOY)、感動(WOW)、共感…いわゆる日本語で言うところの「徳を積む」とウッフィーが増える仕組みになっている。

P64、商人にとって重要な仕事はTwitterフォロワーの数を増やすべくフォローしまくることではない。フォロワーが増えたところで過疎地駅前から渋谷駅前に移転するに過ぎない。商売の提供価値が増えたわけではない。共感のベースがなければならない。

P69、そしてちょうど生物が酸素と水を外界から取り入れないと死ぬように、企業は外界つまり顧客やコミュニティなどからいただくウッフィーを取り込まないと死んでしまう。

P141、ビジネスを定義してみる
あなたのビジネスはなんだろう?
「うどんを作っています」
「Tシャツを売っています」
「焼き窯を設置したライトバンであちこち回って、焼きたてピザを販売しています」
いずれも「doing」によるビジネス(提供価値)の定義だ。
「おいしいランチタイムをうどんで」
「アウトドアで焼きたてあっつあつのピザを味わう喜びを体験してもらっています」
こうなると世界との交流方法、つまり「being」による定義になる。

doingからbeing へ。これがブランディング基本である。

P159、私は、「何の価値を想像するのか」から考える。それから、必要な人材を考える。獣医が必要かどうかは創造した価値の提供手段が規定する。

P179、認識を変化させるとは、ものの見方を変える。違う見方をする。方法は三つある。
第一に、気づくことである。第二に、機知により未知を推定する。第三に、市場の空席を発見する。

P182、気づく力の磨き方
磨き方その1 ネタ目で世の中を観察する
磨き方その2 足腰を軽くする
磨き方その3 「似ている」を探す
磨き方その4 修飾を外す

P188、イノベーションの壁
業界常識にどっぷり浸かっていると、業界をひっくり返すようなイノベーションがでてきたとき、望ましい反応ができない。反射神経が鈍くなる。これをイノベーションの壁と呼ぶ。

P204、顧客からの要求に変化があるという。以前はプレゼンテーションの方法やアプリケーションソフトの使い方など、モジュール(規格)化しやすい研修が多かった。しかし、最近は「商品リスト」にないオリジナルメニューを組んでほしいといわれることが多い。例えば、営業・製造・技術など所属部署をまたがってプロジェクトを進めるときに必要なマインドを醸成するような研修などだ。

2011年4月17日日曜日

早坂茂三の「田中角栄」回想録

早坂茂三の「田中角栄」回想録
早坂 茂三
小学館
売り上げランキング: 198931

著者の早坂茂三氏は田中角栄の秘書を23年務めた人で、それだけに田中角栄のことをもっともよく知っている人の一人だろう。 その著者が田中角栄が語った整理理念や考えた方を纏めている。

自分が政治とかを意識しだしたときには、田中角栄はもうロッキードで有罪判決を受けて、死んでいた頃なので、何をしたのか、どんな人だったのかはよくわからない。 しかしこの本で田中角栄の経歴や考え方などを読むと、戦後最大の政治家といわれる理由や未だに日本の政治において田中角栄の影響があることがよくわかる。

いろいろと問題も多かった人のようだが、それでも日本のことを考え日本のために行動した政治家だったのだと言うことがよくわかる。

本気になればすべてが変わる―生きる技術をみがく70のヒント

本気になればすべてが変わる―生きる技術をみがく70のヒント
松岡 修造
文藝春秋
売り上げランキング: 49176

松岡修造って、ただ前向きで熱い人かと思っていた。とくに修造botイメージが強い。 それ以外では松岡修造という人を自分はよく知らなかったのだが、この人は熱い人なのではなくて、計算的に熱い人を演じることでモチベーションを上げようと意識的にしている人だと言うことが分かる。 実際にはただ前向きで熱い人なのではなく、地道でコツコツとした努力の人なんだと言うことがよくわかる。

日記を書き、それを読み返すことで、自分のことをよりよく知り、イメージトレーニングを行い、前向きな言葉をいい、自分を褒める。そして自分の不機嫌やストレスと上手くつきあう。 そういった松岡修造が行っている様々な工夫が書かれている。

以下自分のメモ

・自分の取扱説明書を書く、瞑想などを行い自分の心に耳を傾ける。
・日記を書き、それを読み返す
・自分に今必要な十箇条を書く
・ストレスの原因と、ストレス解消を行ったリカバリとをポイント化して、バランスシートをつくる
・目標をかく目標達成ノートをつくる
・自分を読める、ネガティブな言葉を使わない
・プレゼンを行うときには、イメージでその場にあるものにキーワードとなる言葉結びつける。そうすることでそれを見ることで話すつもりのことを思い出せる
・がんばる自分を好きになれ
・森信三の修身教授録、安岡正篤の帝王学、中村天風の完全積極
・それをイメージすることでいらいらから抜けることの出来る、心のセーフティブランケットを持つ
・随所作主、随所に主となれば、立つ処みな真なり
・様々なアドバイスをもらったら、それを紙に書いて比較検討する