2009年6月27日土曜日

私は日本のここが好き!―外国人54人が語る

私は日本のここが好き!―外国人54人が語る

出窓社
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外国人が日本をどのように見ているのか、というのは日本びいきの外人を見るとなんか和むスレのまとめ
をみると日本びいきであるという一面ではあるが、日本が好きだという外国人の様々な例を見ることはできる。  このサイトは日本人から見た外国人の行動なので、その内面的な部分に関してはわからないんだけど、その外国人から日本や日本人に対してどのように感じているのかを語ってもらったのがこの本の内容になっている。


それぞれに日本によくなじんで理解している人たちのようで、それぞれに日本に対して思うところをおそらくは率直に語ってくれていると思う。 ただその語っている内容が、とても個人的な経験に即した物になっているので、ここのエピソードの固まりであり全体を通したまとまりが散漫になっているような印象はあった。


ほんのタイトルが「私は日本のここが好き!」なので、嫌いな部分などは目的としていないと思うんだけど、自分が読みたいと思っていたのはもうちょっと客観的に外部の視点で日本のいいところ悪いところを述べたような内容だったのかなぁと思う。

ただこの本のなかでスイス人のウルフガング・アンベールドロー氏が
日本や日本人について日本人が書いた本が本当にたくさん並んでいます。スイスで、「スイス人とは」なとど自らのことについてあれこれ論じている本はあまり見あたりません。
と述べている部分で、自分も含めて日本人はたしかにそういう外部と比較して日本は、日本人はどうあるのかというような部分が大きいなと言うことを思った。

これはおそらく昔ながらの島国根性とか、村社会の同調圧力とかそういう他者との比較によって、自らの考え方や立ち位置を確認したがる日本人の特性なのかなということを考えた。


悪くない内容だけど、日本を再発見できるほどのことはなかったし、それほど気づきをえられる物でもなかった。 自分としては図書館で借りて読む程度の本かな。

2009年6月7日日曜日

デビューして3作目

かなりたくさんのラノベを読んできているけど、その中で何となく気がついたのは新しくデビューした新人の今後を計るのは3冊目だと言うことがある。 最近の新人はそれぞれのレーベルの大賞なんかに応募してその中から選ばれてくるけど、電撃なんかだと3000近い応募があって、そのなかから文庫として発売されるのが5冊程度だから、大賞や金賞、たとえ佳作であってもそれらの賞に選ばれると言うことはすごいことだというのは間違いない。

でも大賞や金賞などが取れた作品はすごくても、その後その力を続けることができるかどうかはまた別の話。

応募して賞が取れた作品などは、その作者が、場合によっては中学や高校時代からずっと考えてきたキャラクターや世界観を元にしており、ながく暖めてきた物だからこそキャラクターや世界観がものすごく綿密になり、それが物語の魅力となって、ひいては賞を取れるような物にまで昇華できたと言うことが少なくないように思う。

だからそういう作者の場合、賞が取れた1作目はすごく面白い、2作目は1作目の続きになるか、別の物語になるかはわからないけど、そういう長く物語を考えてきた人が一つしか考えてないと言うことはないだろうから、まだ面白い物がかける。 そして3作目になるといままで蓄積してきた物ではなく、新しく物語やストーリーをつくりだして、それを小説として作り上げなければならなくなる。

そうやって期間の限られた短い中で、魅力のあるキャラクターや物語を作り出すことができるかどうか、そこではじめてその作者の本当の力量が試されることになる。

そんなわけでデビューして3作目は一つの山だと思っている。

2009年6月2日火曜日

釈迦の教えは「感謝」だった

釈迦の教えは「感謝」だった
小林 正観
風雲舎
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小林さんが旅先で行ってきた10万人以上の人に対する手相や人生相談から、釈迦の教えと共通するものを見つけ出し、その教えが凝縮されている般若心経の解説を通して、何事にもとらわれず、あるがままの物を受け入れ、そしてそれに感謝するということを教示した内容。

般若心経の写経は昔やってたが、その意味や解説はいままで接したことがなかったので、この小林さんの解説が正しいのか正当な物なのかの判断はできないが、本書でなされている般若心経の解説はとてもシンプルでわかりやすいものだった。

すべてのものは空で、何も意味はなく、それに意味を与えているのは自分であり、それに意味を与えてしまうが故にそれの持つ意味に苦しんでしまう。 だから全てに意味はないと受け入れ、なにも執着せず、夢も希望も持たずに生きると洛に楽しく生きることができますよ。 そうしてそうやって生きることができれば、いろいろな物に感謝をすることができるようになるし、不足を訴えるのではなく今ある物に感謝することによって、得たいと思っていた物を得ることができるようになります。 というような話。


人と動物の違いは他の人に喜んでもらえるのがうれしいと感じられる心があることだ、そのうれしいと感じられる心は神様から分け与えられた物ではないか。 という一文があるんだけど、うれしいと感じられる心が神様から分け与えられた物というのはなんというかものすごくああなるほどなぁとしっくり来る物だった。

自分としては夢も希望も執着もなくせば楽に生きられるというのはものすごく違和感のある考え方で、それこそこの本にも解説されている四苦八苦はこの世で生きていることの醍醐味ではないだろうかと思うんだけどな。 どうせいつかはなにをしたって死ぬんだから、それまではせいぜい喜び苦しみ悩み恐怖を堪能して生きるのもありじゃないかと思う。 まぁそう思うのは自分の転生の位階が低すぎるとかそういう話なのかもしれないが(笑)


結論的にはかなりいい本だと思う。

もっと穏やかに心安らかな人生を送りたいと思っている人は是非読んでみるべきかも。