2011年7月10日日曜日

共感企業

共感企業
共感企業
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阪本 啓一
日本経済新聞出版社
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これからの時代に企業をどのようにしていくのか、そういうことを考ええた場合、ブランディングや選択と集中、顧客の巻き込み、ネットを使った顧客とのつながりなど様々なキーワードがあるが、それらをまとめて「ビジネス2.0」として一本の筋を通してまとめて解説してある。

これからの企業運営を考える上では必須の一冊になる。

自分のことを考えた場合、自分は一企業に雇われているサラリーマンであり、企業の運営に関わるような立場でもないが、これからの時代の企業において社員としてどのように企業活動にコミットしていくのか、そういう面でとても考えさせられるものだった。

できれば自分では決めることのできない、会社としての方針などを考えるためにも
、うちの会社の経営者にもよんでほしいとおもう。



P18、ビジネス2.0では、「貢献」「評価」「尊敬」「信頼」『感謝」『喜び(JOY)」「感動(WOW)」「愛」『徳」そして『共感」といった言葉がキーワードになる。

P23、第一に、顧客が求めているとしている経営の前提がすれてしまっていることに経営者が気づいていない。(略
第二に、社員のポテンシャルに気づいていない。社員から最大限の力を引き出すことがマネジメントの仕事であるにもかかわらず、昔ながらの日本語ガイドをさせている。

P31、ビジネス1.0 人の気持ちと地球を消費し尽くすビジネスのあり方。
ビジネス2.0 人の気持ちと地球をリスペクトするビジネスのあり方

P37、自分は常に事業の経営に任じては、その仕事が国家に必要であって、また道理に合するようにしていきたいと心掛けて来た。仮令素の事業が微々たるものであろうとも、自分の利益は小額であるにしても、国家必要の事業を合理的に経営すれば、心は常に楽しんで事に任じられる。故に世は論語を持って商売上の『バイブル」となし、孔子の道以外には一歩も出るまいと努めて来た。それから余が事業上の見解としては、一個人に利益ある仕事よりも、多数社会を益して行くのでなければならぬということを常に心していた。
(中略)
多く社会を益することでなくては、正径な事業とは言われない。仮に一個人のみ大富豪になっても、社会の多数がために貧困に陥るような事業であったならば、どんなものであろうか。如何にその人が富をつんでも、その幸福は継続されないではないか。ゆえに、国家多数の富を致す方法でなければいかぬというのである。

P43、顧客参加型市場には四つの特徴がある
(1)面白いかどうかが決め手
(2)境界がなくなってしまっている
企業と顧客の境界がない。
(3)逆転している
顧客参加型市場では、企業は「フリー(無料)」にして顧客に使ってもらう。つまり企業がお金を払う。顧客は払わない。
(4)企業と顧客が共感をベースに協創する

P56、ウッフィー(Whuffe)は、仮想通貨だ。作家のコリィ・ドクトロウの小説『マジックキングダムで落ちぶれて』(Down and Out in the Magic Kingdom A Tor book, 2003邦訳ハヤカワ文庫)に由来する。 ウッフィーはソーシャルキャピタルで、現実の通貨では買いたくても買えない。徹底的に利他的な性質を持つ。つまり、誰か他人のお役に立つ、貢献する、評価される、尊敬を受ける、信頼を得る、感謝される、喜び(JOY)、感動(WOW)、共感…いわゆる日本語で言うところの「徳を積む」とウッフィーが増える仕組みになっている。

P64、商人にとって重要な仕事はTwitterフォロワーの数を増やすべくフォローしまくることではない。フォロワーが増えたところで過疎地駅前から渋谷駅前に移転するに過ぎない。商売の提供価値が増えたわけではない。共感のベースがなければならない。

P69、そしてちょうど生物が酸素と水を外界から取り入れないと死ぬように、企業は外界つまり顧客やコミュニティなどからいただくウッフィーを取り込まないと死んでしまう。

P141、ビジネスを定義してみる
あなたのビジネスはなんだろう?
「うどんを作っています」
「Tシャツを売っています」
「焼き窯を設置したライトバンであちこち回って、焼きたてピザを販売しています」
いずれも「doing」によるビジネス(提供価値)の定義だ。
「おいしいランチタイムをうどんで」
「アウトドアで焼きたてあっつあつのピザを味わう喜びを体験してもらっています」
こうなると世界との交流方法、つまり「being」による定義になる。

doingからbeing へ。これがブランディング基本である。

P159、私は、「何の価値を想像するのか」から考える。それから、必要な人材を考える。獣医が必要かどうかは創造した価値の提供手段が規定する。

P179、認識を変化させるとは、ものの見方を変える。違う見方をする。方法は三つある。
第一に、気づくことである。第二に、機知により未知を推定する。第三に、市場の空席を発見する。

P182、気づく力の磨き方
磨き方その1 ネタ目で世の中を観察する
磨き方その2 足腰を軽くする
磨き方その3 「似ている」を探す
磨き方その4 修飾を外す

P188、イノベーションの壁
業界常識にどっぷり浸かっていると、業界をひっくり返すようなイノベーションがでてきたとき、望ましい反応ができない。反射神経が鈍くなる。これをイノベーションの壁と呼ぶ。

P204、顧客からの要求に変化があるという。以前はプレゼンテーションの方法やアプリケーションソフトの使い方など、モジュール(規格)化しやすい研修が多かった。しかし、最近は「商品リスト」にないオリジナルメニューを組んでほしいといわれることが多い。例えば、営業・製造・技術など所属部署をまたがってプロジェクトを進めるときに必要なマインドを醸成するような研修などだ。