奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録
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石川 拓治 NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」制作班
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もったいないひとつのものに狂えば、いつか必ず答えに巡り会う
キ・セ・キ
信念
奇跡の定義
無農薬ではリンゴを作ることはできないとされていた常識を打ち破り、無農薬でリンゴを作ることに成功した木村さんの苦難を描いている本。
ちょっと前からこの本のことは聞いていて、興味を持っていたところ、農業を志している妹が図書館で借りてきたので、ついでに読んでみた。
私はリンゴは結構好きな果物ではあるが、もちろんリンゴを育てたことはなく、どのような形で作られているのかと言うことはあまり考えたことがなかった。 この本によるとリンゴ農家では毎年の予想される天候や気温、また害虫の発生予測などから、その直訴の時期に散布する農薬が記載されている農薬カレンダーという物に従って大量の農薬を散布して作っているらしい。 リンゴ農家の常識ではそのような大量の農薬を散布しないとまともにリンゴはできないとされていて、実際にその常識に疑問を持って農薬を散布しなかった木村さんのリンゴは壊滅的な打撃を受けてしまうことになる。
ここで、ああやっぱりだめなんだな。で終わってしまえばそれまでだったのだが、木村さんは無農薬で米も野菜もできるんだから、リンゴが無農薬でできないはずはないという信念を抱いて、その方法を模索していく。
たしかに木村さんは思いついた信念を貫き通して、奇跡のリンゴと呼ばれる無農薬リンゴを作ることに成功する。 しかし彼はその過程で、守るべき家族に過大とも言える苦労を押しつけることに成り、最終的には自殺する手前までいってしまっている。
木村さんは信念を抱き、それを貫き通して、奇跡のリンゴを手にすることができた。 目標を達成することができたので、めでたしめでたしで美談としてこの話は語ることができるが、一歩何か掛け違いがあれば思念を抱き、苦労し、迷惑を掛け、失敗した一人の男の人生がそこにできあがることになっていたはずだ。
信念を抱き、それを貫き通すことはたしかに素晴らしいことだと思う。 しかし度を過ぎた信念とそれを貫こうという意志は間違いなく破滅を呼び寄せる物なんだと言うことも強く実感させられた。
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