2010年10月11日月曜日

日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率

日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率 (講談社プラスアルファ新書)
浅川 芳裕
講談社
売り上げランキング: 1398
おすすめ度の平均: 4.5
3 問題提起としてはおもしろいが
5 この本読んで知識をつけて、農林省に物を申せるようになろう。
5 衝撃的なタイトル
5 農水省よお前もか!
4 プロパガンダにはプロパガンダで対抗


日本の農業を語るなら、まず読んでおくべき本。

日本の食糧自給率が低いこと、小麦大豆をはじめとして、様々な食品が国産ではまかなえず、その大半が輸入されていることなどはよくマスコミなどでも喧伝されていることだが、その食糧自給率がいかにまやかしであるか、そして日本にはどのくらいの食料生産能力があるのかと言うことを、データを元に明快に解説している。

たとえばよくあるカロリーベースの食糧自給率というものがあるが、これは「(国産+輸出)/人口」の国産供給カロリーを「(国産+輸入-輸出)/人口」で算出される全供給カロリーで割ったものだが、2008年では、国産供給カロリーが1012キロカロリーで、全供給カロリーが2473キロカロリー、よって自給率は41%という計算になる。 しかしこの全供給カロリーは全部が摂取されているわけでは当然なく、2005年の厚生労働省の調査では供給カロリーが2573キロカロリー、摂取カロリーが1904キロカロリーとなる。その差の669キロカロリーはどこへ行ったのかというと、廃棄された分と言うことになる。 量にして日本の農産物輸入の5450万トン中1900万トンが廃棄されてる量になるそうだ。

要するに日本が贅沢になってコンビニやファーストフードで廃棄される食べ物が増えれば増えるほど、食糧自給率は下がっていく。 

逆に摂取カロリーで計算すれば、1904キロカロリー中、1012キロカロリーは国産でまかなえていることになり、食糧自給率は53%となる。 53%が多いか少ないかは別として、こちらの方が日本の実態をしめしていると思う。 

上記を一例として、他の国ではやっていない食糧自給率ベースで先進各国と比較した場合や、GDPベースでの比較、就労人口、生産額など様々なデータから日本の農業は世界と比較した場合どのようなポジションにいるのかというようなことをわかりやすく解説している。

またそういう農業行政に大きな力を持っている農林水産省が、農業の危機を喧伝することにより、いかに多くの天下り先の確保と、税金の無駄遣いをしているのかと言うことがよくわかる。  とりあえず小麦とバターの価格統制はすぐにでもやめさせる必要がある。 役所というのは本質的にそういうものなんだろうけど、自らの限界まで書類仕事、無駄な仕事をつくるものなんだなと言うのがよくわかる。

今の政権にはあまり期待できないけど、是非この不効率な農業行政を改める努力をしてほしいと強く思う。

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