2010年10月13日水曜日

ある秋の卒業式と、あるいは空を見上げるアネモイと。

ある秋の卒業式と、あるいは空を見上げるアネモイと。 (一迅社文庫)
朱門 優
一迅社
売り上げランキング: 127264
おすすめ度の平均: 5.0
5 そのままな雰囲気がいい
5 1巻も素晴らしかったが
5 神作品ってレベルじゃない



「---わたしの家事は、”甘やかすための家事”」

こんなところで家事の神髄にでくわすとは思わなかった。

たしかに"家事"と一言で言っても、その家事を行う人の心持ちで、その家事は相手のためにやる家事か、体面的な面などから自分のためにやる家事か、というふうに2つに大別できる。 この発想はなかった。 この甘やかすための家事で、無意識下にしみこむ快楽が無自覚なまま人をだめにしていくというなんて恐ろしい娘。 是非自分を飼ってください!


それはさておき、前巻の「ある夏のお見合いと、あるいは空を泳ぐアネモイと。」 (一迅社文庫)の続きなんだけど、さすがに2年も前だし、1巻目が出たときはきれいに終わっていたのでもう終わりだと思い、置く場所もないことから残念ながらすでに売ってしまっている。 だから前巻は結構いい感じの物語だったという印象は残っているんだけど、細かいところまで覚えていない。

細かいところは覚えていないんだけど、この2巻を読んでまた1巻を読み返したくなるくらい、いい物語だった。

1巻では輪といちこの関係の変化が中心となった物語だったが、今回は輪とその姉妹との関係が中心となった物語で、オビにもある「アタシ、お兄ちゃんを卒業します」という物語。 卒業してどうなるかは読んでのお楽しみ。

そういうキャラクターの物語に、壮大な神々の世界の片鱗を感じさせる、神と神の物語が絡み、人と神の物語が一本にまとまるストリーティングはさすが朱門さんの真骨頂。

1巻ではそのままきれいに終わって、続きはなさそうな雰囲気だったのが、今回ではいろいろと伏線を残して、モロに続きますよという感じで終わっている。 朱門さんの今の仕事は知らないんだけど、これだけ明確に続きますよという終わり方をしているのなら、おそらく今度は2年も待たされずに続きが出てくるのではないかと期待できそう。

とりあえず1巻はまた探して手に入れよう。

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