2009年10月27日火曜日

旅する人びと

旅する人びと (ヨーロッパの中世)
関 哲行
岩波書店
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ということで、読んでみた。

こっちのほうはいろんな人々の旅を通して、中世ヨーロッパの旅人はどのような旅を行ったのかという視点から話を進めている。 その階級の人々全般的な話ではなく、その階級に属する特定の人の旅行記を通してその世界の旅の様子を描いているので、どうも話の内容が属人的すぎて自分としては今ひとつ物足りなかった。

逆にたくさんの特定の人の話がたくさん出てくるので、中世を旅した人の記録なんかをここから探すことはできのではないだろうか。

自分が興味深く思ったのはサンティアゴ・デ・コンポステーラとパリ大学の設立の由来や経緯についての部分。 ケルトから由来する重層的な聖地としてのサンティアゴ・デ・コンポステーラ、重層的なヨーロッパの文化の積み重ねの結果として生まれてきたパリ大学、そしてそこから派生していく各大学、そういったそれらがうまれてくる背景が興味深かった。 ヨーロッパの古い大学なんかはそういう歴史などきっちり残しているだろうし、そういうところから歴史をたどってみるのも面白いかもしれない。

あとは6章の「女性とマイノリティ」、ここでようやく自分が興味を持っていたジプシーの話が出てくるんだけど,その部分はほぼ2ページ。 そこはちょっと残念だったが、それ以外の流浪の民としてのユダヤ人、また各種奴隷、そして貧民。

やはりというか当然のこととしてこの時代にも貧民がいて、各地を流浪したりもしていたらしい。 こういう貧民の歴史みたいな物も面白いかもしれない。

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