2011年1月16日日曜日

NASAより宇宙に近い町工場

NASAより宇宙に近い町工場
植松 努
ディスカヴァー・トゥエンティワン
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夢の実現に希望が持てるようになる。 内容は平易なので中学生くらいに是非とも読んでほしいとおもう。
北海道に民間でロケット開発をしている会社があるというのは知っていたので、その会社のロケット開発に関する本だと思って読んでみたんだけど、そう言う話ではなかったが、別の面でとてもいい本だった。

著者の植松努氏はそんなことは無理と言われてしまいそうな、民間企業による宇宙開発を通して、どうせ無理、という言葉をなくしてしまいたいという思いで活動されている。 たしかに国に頼らず、従業員20人ほどの中小企業がロケットから開発して宇宙開発する、なんて普通に考えれば無理としかいいようないのだが、それを実現させている著者に、無理なんてことはない努力と工夫でなんでもできる、と言われてしまえばこれほどの説得力もない。

本業はリサイクルに使用されるマグネットを製造している植松電機で、そこでの儲をロケット開発につぎ込んでいるらしい。 その植松電機の経営方針も独特で、「稼働率を下げる、なるべく売らない、なるべくつくらない」という経営方針で会社を運営している。

一見奇妙な経営方針だが、著者ならではの着目点からそういう経営方針を持つに至ったらしい。 全ての企業や仕事に適用できるわけではもちろんないが、その考え方の基本は極めて普遍的なものがあり、そこはとても参考になる。

植松氏のやっているカムイスペースワークスは到達高度10Kmのロケットまで成功している。 (プレスリリース) 平成19年以降のプレスリリースがないのが気になるが、その他にもホリエモンの行っている宇宙開発事業のSNS inc.が目指している有人ロケット開発にも協力しているらしい。

現在国が行っているロケット開発は種子島での発射がメインになっているが、10年後、20年後における日本の民間ロケット開発の中心は北海道になっていることは間違いなく、その中心にはおそらく植松氏がいるのではないかと思う。

自分もいろいろとやりたいと思ったことを、無理だろうとあきらめていたことがたくさんあるが、あきらめるまえに「だったらこうしてみたら」といことを考えてみるようにしたいと思った。


P33、「ニッチ(すきま)をねらえ」とよくいわれますが、ニッチという物は「見つける」ものではありません。ニッチは自分でつくるものです。誰かがつくったニッチは、その誰かのもの。だから自分でつくらなければいけません。

P43、「やったことがないことをやる」「あきらめない」「工夫をする」。この心が何よりも大切です。こういう人たちのキーワードは、「だったら、こうしてみたら」です。どんなことがあっても、「だったら、こうしてみたら」と思える人たちが0から1を生み出す人たちになります。

P124、僕たちが会社の稼働率を下げて、なるべく働く時間を短くしているのは、最低限の食いぶちは知恵を使ってさっさと稼いでしまい、余らせた時間で、未来のために違うことをやりたいからです。
 これをやらないと会社が続かないということを僕は知っています。いままで何度もこれを経験してきているからです。時間を余らせるんです。余らせるために一生懸命知恵をつかうんです。
最低限やらなければならないことだけを全力でやってしまうと、最低限の人間にしかなれません。最低限やらなければならないことは、さっさと終わらせるべきなのです。

P170、夢とは、大好きなこと、やってみたいことです。
そして仕事とは、社会や人のために役立つことです。

P171、彼らは言いました。「お金を払ってしてもらうことはサービスですよ。それは趣味じゃありません」趣味とは自分ですることだと教えてくれました。

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